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Project
Story 02
プロジェクトストーリー

自動化を目指す生産工場。
イノベーションは
現場全体で実現する。

自動化・省力化が進む、日本のものづくりの現場。プリマハムの工場も例外ではありません。
プリマハムはかねてから製造工程の合理化に注力し、業界でも先駆的といわれています。
生産本部製造・技術部の数寄竜也(2012年入社)が、その一端をご紹介します。

“自動化のヒントは現場から”を貫く

「プリマハムの生産現場では、合理化や生産性の向上に現場の人も含めてみんなで改善します」(数寄談・以下同)
プリマハムの生産現場では、より効率的により品質の高い商品をどうしたら生産できるかということをとても大事にしています。そのため、工場の合理化や生産性の向上に、技術系の社員だけでなく、品質管理の社員、製造現場の社員がそれぞれの立場で連携しながらみんなで取り組みます。そのような中、技術系の社員である数寄が所属する製造・技術部では、他社には真似できないようなプリマハムオリジナルの機械開発の設計から導入までを担当しています。
例えば、あらかじめ切れ目が入っているため、 加熱するだけでタコさんの形になるプリマハム独自の商品『タコさんウインナー®』。その大量に流れてくるウインナーに高速で切れ目を入れる製造装置も自社で開発しました。もちろん多くの生産ラインは外部から調達した生産設備によって構成されていますが、プリマハムならではの技術やアイデアが採用された工程の設備は、自分たちで開発しています。なぜ、外注せずに自分たちで設計する部分があるかというと、他社と差別化を図りたい重要な工程では実際に現場を何回も確認して現場と一緒になって、より自分たちが使いやすく効果を生み出せる設備に仕上げるため。特に、前例の少ない新しい技術を活用する場合ほど、どうやって自分たちが使える形にして現場に落とし込むかが肝心となり、それは現場に寄り添っている技術者でなければできないのです。

また、プリマハムの扱う原料肉は形状が均一ではなく、赤身・脂身などの成分も均一ではありません。不均一のものを自動化するのは非常に困難で、例えば自動化が最も進んでいると思われる自動車の生産ラインとは前提条件がまったく異なり、そこにプリマハム独自のノウハウがあります。
さらに衛生面、安全面への配慮も重要です。ロボットを水洗いするには防水仕様が必須となりますが、そのノウハウを持つ機械メーカーは決して多くなく、自ら手がける必要が出てきます。
2019年に完成した茨城工場は、大幅な自動化・省人化を実現した生産拠点です。特にハムやソーセージの製造における自動化について業界の中でも先駆的と評価されていますが、それも“自動化のヒントは現場から”という基本精神が活きているからでしょう。

AIも外注任せにしない

数寄が自ら設計・製作した『香薫®あらびきポーク』用台車運搬ロボットは、プリマハムらしい自動化の一例です。
「以前は数百kgものウインナーを台車に乗せ、生産ラインにセットするために人の手で運んでいました。いうまでもなく大変な重労働です。その作業を自動で行う装置を開発しました。イメージとしては家庭で使われているロボット掃除機を大きくしたようなマシンです」
ただし、ロボット掃除機のような機械は多くの物流現場で使われていますが、既存の工場に後から導入しようとしても床の凹凸や既存の機械との動線の関係で、そのままでは使えません。そうした細かなカスタマイズも重要な仕事です。
AI検査装置も導入しました。以前は完成した商品の包装を人の目によってチェックし、不良があれば生産ラインから除去するという流れでしたが、このチェック作業をAIの画像処理によって行うようにしたのです。
「AIの開発はAIメーカーにお願いすればやってくれますが、現場に合うようにカスタマイズして、実際に効果につなげるというところまではなかなか手が回らないようです。ならば自分たちの手でどうにかできないかと、2021年ごろに開発キットを購入して取り組みました。それこそ、技術系の社員だけでなく、品質管理、現場の社員が一緒になって、人と同等の判断ができるようにAIに大量の画像を学習させては判定精度の確認を繰り返しました。その結果、これなら使えるという手応えが得られたので、順次浸透させているところです」

とにかく、つくる。そして改良

コンビニの惣菜コーナーで、トレーに入った焼き鳥を目にしたことがある人も多いでしょう。この製造現場でも数寄の手がけた機械が活躍しています。
「コンベアで流れてきた焼き鳥を殺菌工程に移す際、以前は大量の焼き鳥をケースに詰めて運ぶ作業を人が行っていました。次から次へと流れてくるため手際のよさも要求され、作業者にとってはかなりの負担となっていました」
その作業を自動化するために数寄が開発したのが、写真の「トレー商品自動積載装置」です。
迅速かつ効率的に焼き鳥を殺菌工程に移すには、トレーに隙間なくぎっしりと焼き鳥を並べる必要があります。しかし相談を受けた機械メーカーの返事は「詰め過ぎるとロボットがうまくピックアップできない」というもの。かといってメーカーの提案どおりに隙間を空けて並べると積載効率が低くなって殺菌工程に時間がかかり、結局、作業者の労働時間が長くなってしまいます。
相談を受けた数寄は、機械メーカーも断念した難易度に不安は感じましたが、「他社と差別化できるいいチャンス」と捉えて開発に取り組むことにしました。
まずは、簡単な試作機を迅速に製作し、現場に適用した際のイメージを現場のメンバーとも共有しながら、“本当に必要な機能”や“不要な要素”を明確化。それに合わせて試作機を改良して再度試用します。このサイクルをできるだけスピーディーに繰り返すことで徐々に完成形に近づけていきました。
もちろん自分たちで生産機械を開発するとなると、外部の専業メーカーにお願いするのに比べて手間がかかります。しかし、自分たちに最適化した機械が実現できることに加え、ノウハウが蓄積できるというメリットがあります。
「実際に導入できれば高い効果が期待できる一方で、検討や開発段階では技術的な不透明さがつきまといます。その中でも、プロジェクトの成功見込みや進捗を社内メンバーと共有しながらプロジェクトを進めていくこと自体が、大きなチャレンジです」

そして完全自動化へ

実は数寄が大学院で専攻したのは農学生命科学です。学部こそ機械系だったため基礎的な知識は身につけているものの、こうした機械づくりが専門外の分野であることは間違いありません。それでもチャレンジさせてもらえるのがプリマハムらしさです。
「当たり前ですが、簡単ではありません。一体どうしたらいいんだろうと悩む時間はもちろんあります。そんなときは、やはり現場に立ち返り、どうしたら現場の作業がラクになるだろう、喜んでくれるだろうと考えます」
開発に取り組んでいる際は、仕事を離れても新しい機械のことが頭の片隅から離れないことがしょっちゅうだとか。
「でも、決して投げ出すことはないですね。ようやく完成した機械を現場に導入してうまく稼働を始めると、今まで大変だった作業がなくなったり、ラクにできるようになります。現場の人たちも“これはいい”“もう1台ほしい”と評価してくれる。その笑顔が見たいから、私も諦めずにやり通せる」
今後目指すのは生産ラインの完全自動化。働き手不足の問題が解消できるほか、人は人にしかできない作業に従事できるため、従業員の働きがいの向上にもつながるでしょう。もちろんそれは一足飛びに実現できることではなく、現場の課題を地道に解決していく以外にありません。
「上司がよく言うのは“我々は食品会社の技術屋なんだ”ということです。要するに機械メーカーの目線で取り組んではならないという意味ですね」
その矜持が、“自動化のヒントは現場から”を貫く原動力となっています。