事業等のリスク

リスクマネジメント

基本的な考え方

当社グループは、想定される「企業リスク」の発現を抑制し、また発現しうる被害を最小限に留めるため、リスク抑制策とリスクが顕在化した際の効率的で最適な対応方法を定めた「リスク管理規定」を制定しています。

リスクの顕在化とは

  • 会社の過失により取引先および消費者に多大なる損害を与えたとき
  • 法令違反を犯し、その責任を問われたとき
  • 財務報告の信頼性が確保されなかったとき
  • 自然災害によって多大な損害を受けたとき
  • 重要な情報が外部に流出、漏洩したとき
  • その他会社の存続にかかわる重大な事案が発生したとき

リスクへの対応

当社グループは、「リスク管理規定」においてリスクを要因ごとに分類し、社内諸規定やマニュアル、通達によって、リスク発生の未然防止方法を示しています。また、経営理念を実践するため、当社は日々の業務遂行にあたっての具体的な行動指針として「プリマハム行動規範」を策定し、事業活動のあらゆる場面において食品安全に基づいたおいしい食品を食卓へお届けするために「食品安全・品質方針」を定めています。
リスクが発生したときには、「リスク発生時の対応マニュアル」に従い、予測される被害の程度に応じて、対応方法を定めています。予測される被害が甚大な場合は、当社社長を本部長とする本社対策本部を設置し、関連部署と連携して対応にあたります。
なお、当社の従業員に毎年配布する手帳には、日々の生産・営業活動時にリスクが発生したときの対応として「緊急対応時の初期動作(重大クレーム編、食中毒編、労働災害編、交通事故編、自然災害編)」を掲載しており、従業員が適切な行動を取るための目安として周知を図っています。

気候変動リスクへの対応

近年、世界的な課題となっている気候変動は、当社グループの事業においても、原材料や飼料のコストが上昇するなど多大な影響をおよぼしています。そこで当社グループは、気候変動を重要な経営リスクのひとつとして位置づけており、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、これに沿った開示に取り組んでいます。

事業継続計画(BCP)

当社グループはリスク管理の一環として、自然災害や感染症を対象とした事業継続計画を策定し、有事の際には危機管理体制のすみやかな構築と被害拡大の防止に努めて、業務の復旧と被災地域や行政に対する復興支援といった社会的責任を果たすことを定めています。2019年度末からのコロナ禍においても、当社グループはこれを発動し、従業員とその家族および関係者の感染予防、感染拡大防止策を最優先として対応しつつ、事業活動を継続しました。

モニタリング

当社グループのリスク情報として、「食の安全・安心」「公的な規制」「労働安全衛生」「コンプライアンス」「情報セキュリティ」「取引上のリスク」については、半期ごとに当社取締役会へこれらの結果をリスク懸念事象として報告しています。重大と判断された事象については、解消・終結されるまで報告がなされ、当社グループの事業運営に悪影響をおよぼす可能性を最小限に留めるよう努めています。
事業運営上、最も重要と認識している「食の安全・安心」については、四半期ごとに品質安全会議を開催し、お客様からいただいたご意見やご要望をはじめ、法改正や各生産拠点での実施事項などについてグループ内で共有しています。また、「原材料価格の市況変動」については、毎月加工原料会議を開催し、原料の適正調達を確認しています。

事業等のリスク

当社グループの事業や業績等に影響を与えるリスクには、おもに以下のようなものがあります。

事業環境

項目 説明 対策

原材料価格の市況変動

重点リスク

当社グループの販売用食肉、ハム・ソーセージ、加工食品の製造・販売をしており原材料となる畜産物の市況や商品・原油市況の高騰が業績に影響を与える

  • 畜産物の相場変動
  • 畜産物の疾病問題
  • 輸入原料肉の緊急輸入制限措置(セーフガード)
  • 農場の飼料価格
  • 包装資材
  • 工場稼動における燃料費・電気代
  • 物流費
  • 原材料の複数購買
  • 代替原料の確保
  • 商品先物契約
  • 適正在庫の確保
  • 商品売価への適正な反映

為替の変動

当社グループは原材料、商品を米国、欧州、中国などから輸入しており、為替レートの変動が業績に影響を与える。海外子会社の現地通貨建ての業績が円換算される際に影響がある

  • 短期的な変動抑制を目指した為替予約・商品売価への適正反映

事業運営

項目 説明 対策

食の安全・安心の確保

重点リスク

当社グループが製造・販売する商品において

  • 重大な品質問題
  • 品質問題の長期化
  • アレルギー物質の混入等

が発生することで、お客様の健康を損ねる懸念や社会的信頼により、事業継続が困難になる

  • 品質管理手法の実践
    (HACCP,ISO 22000,AIB,FSSC 22000)
  • 商品パッケージの内容表示、当社HPにおける情報開示
  • 問題発生時は、迅速な情報伝達と再発防止体制を整備

のれん、固定資産の減損

当社グループの有形固定資産および無形固定資産が事業計画と乖離し、期待通りのキャッシュ・フローを生み出さない場合、業績および財政状態に悪影響を及ぼす

  • 買収子会社の事業計画未達
  • 事業用資産の事業計画乖離
  • 経営会議等における買収金額の審議・決定
  • 買収後の管理手法定着
  • 経営会議等の投資案件レビューによる進捗モニタリング

公的な規制への対応

重点リスク

当社グループの事業活動を行ううえで、法令違反は会社に甚大な影響を与える

  • 食品衛生法、食品表示法等の違反による行政処分、信頼失墜
  • 輸出入関連法の違反による行政処分、生産・販売への影響
  • 独占禁止法の違反による行政処分、取引制限と信頼失墜
  • 労働関連法規の違反による行政処分、信頼失墜
  • 環境・リサイクル関連法の違反による行政処分、原状復帰、生産への影響と信頼失墜
  • 品質管理手法の順守
  • 行動規範の浸透、コンプライアンス委員会による意識の醸成と定着、コンプライアンス教育活動
  • 社内規則の整備、通達の運用徹底、ハラスメント防止研修
  • 環境マネジメントシステム、環境委員会の運用

環境・災害

項目 説明 対策

災害・事故・事件

重点リスク

当社グループおよび仕入先が災害、事件・事故の発生により、人的、物的被害を被ると、商品供給の遅延や停止、生産物流拠点や事業所の整備により、業績に甚大な悪影響を及ぼす

  • 災害 地震・台風・大雪・竜巻・噴火・集中豪雨等
  • 事故 火災・爆発・交通機関等
  • 事件 テロ・誘拐・脅迫等
  • 戦争 内乱等
  • 適正在庫の確保
  • 重要仕入品の複数購買推進
  • 事業継続計画の策定

感染症

重点リスク

当社グループにおいて、新型コロナウイルスが蔓延した場合、事業活動の継続が困難となり、業績に甚大な悪影響を及ぼす

  • 重要業務以外の一時停止
  • 生産ラインと商品供給の停止
  • 事業所の稼動停止

[従業員・家族の感染防止策]

  • 健康管理、注意喚起
  • 会議・業務の制限、出張禁止

[事業継続対応]

  • 対策本部設置(本部長は社長)
  • 各拠点運営体制の整備
  • 他部署からの生産応援
  • 在宅・時差勤務での業務処理
  • 取締役会等のテレビ会議対応
  • ※各項目に記載されている「重点リスク」は、リスク発生時に懸念される特に重要なリスク項目となります。

サイバー攻撃対策

サイバー攻撃は企業にとって、身近かつ大きな脅威です。世界的にサイバー攻撃の手口が高度化・巧妙化している現状を踏まえ、当社グループでは情報セキュリティ体制の整備を進めています。具体的には、インターネット接続部分の監視、端末側の監視強化(EDR)の導入、SSL-VPN(モバイル端末接続)における監視、権限管理システムの監視など、複数のシステムによる監視体制を構築しています。
また、従業員の働き方の多様化、さまざまなデバイスの活用により情報の取り扱い方が複雑になっていることから、情報機器の活用方法の習得とあわせて、TPOにあわせた情報セキュリティへの意識向上、デバイスのOSアップデートといった備えが重要となっており、体制の整備を進めていきます。

感染症対策

新型コロナウイルス感染症の感染リスク拡大を受け、当社グループは2020年3月17日に事業継続計画(BCP)を発動するとともに、対策本部長に当社社長をおく「新型コロナウイルス対策本部」を設置。従業員をはじめ、関係者の方々の安全を最優先するとともに、食品メーカーとしての供給責任を果たすため、各拠点の感染予防および拡大防止の対策に取り組みました。これらの対策は「従業員および関係者の信頼感向上」「新たな販売手法・流通手段による顧客獲得」「新たな事業機会・働き方の創出」「堅牢なサプライチェーンの構築」など、新たな価値の創出につながっています。

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